AI時代に求められること

アメリカ・ウォール街の投資家たちは、AIの急速な普及によって打撃を受けると見られる企業から投資資金を回収しています。 その結果、対象となる企業の株価も軟調な動きを見せています。 こうした流れを受け、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は「AIの影響を…

パウエルの2025年ジャクソンホール会合(金利引き下げ、イーサリアム)

日本時間2025年8月22日午後11時、パウエルFRB議長のジャクソンホール会合での講演が行われました。 発言の要旨は以下のとおりです。 雇用市場には下方リスクが拡大している。 政策金利は依然として引き締め的な水準にあり、リスク要因の変化によっては政策ス…

インテル(INTC)がアメリカの国有企業に?(トランプ、米医療業界、インテル)

最近記事で取り上げた企業に、興味深い動きが見られたので、簡単に状況をアップデートします。 tomotou.com 先日、トランプと米国の医療業界が対立しているという記事を書きました。 またその中で米国の保険会社である「ユナイテッドヘルスケア(UNH)」につい…

夢のエネルギー、ホワイト水素

宇宙で観測可能な物質の約75%は水素で構成されているほど、宇宙で最も豊富な資源は水素です。水素は二酸化炭素を発生させず、1,000℃以上の熱を生み出すことができる「環境に優しい燃料」でもあります。水素は豊富で環境に優しい反面、空気よりも軽いという…

トランプ、金への関税を撤回

昨日、トランプが金に関税を課すという内容について記事でまとめました。 tomotou.com その記事の最後で、金取引に関税を課すというのは影響の大きい政策であり、撤回の可能性もあると述べましたが、本日、トランプは「金に関税を課さない」との立場を表明し…

トランプ、金(ゴールド)に関税(スイス、ニューヨークとロンドン)

米国国土安全保障省 税関・国境取締局 (CBP)の通関確認書で、1kgおよび3.1kgの金塊が関税対象となっていることが確認されたと、フィナンシャル・タイムズが報じました。関連内容を整理してみたいと思います。 2025年2月、米国と英国の間で金価格の大きな乖離…

トランプが薬価を引き下げようとする理由(PBM、ユナイテッドヘルスケア、スイス関税)

アメリカの医療市場に変化があり、その関連内容を整理してみたいと思います。 アメリカは世界で最もインスリンが高い国です。インスリン標準用量の価格は、オーストラリア6.9ドル、イギリス7.5ドル、ドイツ11ドル、カナダ12ドル、日本14.4ドル程度ですが、ア…

トランプが指名した新FRB理事、スティーブン・ミラン(100年無利子国債)

米連邦準備制度(FRB)のクーグラー理事は、任期が2026年1月末まででしたが、2025年8月に早期辞任の意向を表明しました。任期も残りわずかであり、今秋学期からワシントンD.C.のジョージタウン大学教授に復帰するため、早期辞任を決めたとのことです。 FRB理…

台湾が20%の関税を適用された理由(半導体、TSMC、インテル)

米国の台湾に対する関税率が20%と結構高い水準で発表されました。アメリカの半導体に対する関税100%については、台湾のTSMCには適用外という発表もありますが、結局のところ、TSMCと半導体が問題の根源であると見られます。関連する内容を整理してみたいと…

ジャクソンホール会議が近づいている

毎日本当に暑い日が続いていますね。熱中症にはくれぐれもお気をつけください。8月はアメリカもバカンスシーズンのため、FRBのFOMCは開催されません。ちなみにFOMCとは、Federal Open Market Committeeの略で、FRBの金融政策を決定する機関です。 FOMCが開か…

米国とEUの関税交渉妥結、米国が戦略的に投資する5大分野とは

フォンデアライエンEU委員長とトランプ 7月28日に米国とEUの関税交渉が妥結しましたが、仕事が忙しく記事の更新ができていませんでした。主要国の関税交渉が一段落しつつある今、その内容から米国が最優先で投資する5つの分野が見えてきたため、その情報を共…

日米関税交渉の発表内容に見られる両国の意見の食い違い

7月もそろそろ終わりを迎えますね。今月は仕事が忙しく、記事の更新があまりできませんでした。8月には少し余裕があることを願っています。 さて、今回は日米関税交渉の結果に関して、日米両国の発表内容に相違が見られたため、その点を中心に整理してみたい…

パラダイム投資とは何か?(中長期投資戦略)

アマゾンの株価チャート アマゾンの過去の株価チャートを見て、多くの人はこう言います。 「アマゾンが1ドルだったときに買うべきだった!」 しかし、その当時アマゾンを買えた人はほとんどいなかったと思います。 当時のアマゾンは、単なるオンライン書店に…

Genius Act法が可決 ー 仮想通貨市場の拡大(イーサリアム)

最近本業のほうが忙しく記事の更新ができていませんでした。 以前の記事で何回もイーサリアムの可能性について紹介したことがあります。 tomotou.com tomotou.com tomotou.com イーサリアムのチャート 2025年5月7日に1,800ドル前後で取引されていたイーサリ…

ボーイングの航空機事故が多い理由(ボーイング vs エアバス)

インドの旅客機墜落事故に関するブラックボックスの第一次予備調査結果が公表されました。当時の状況を振り返り、問題点を確認したいと思います。事故の概要は以下の通りです。 インド・アーメダバード空港を離陸中のエア・インディア所属ボーイング787-8ド…

トランプがブラジルに50%の関税を予告する理由(BRICS共通通貨)

トランプがブラジルに対して50%の関税を予告しました。その背景について整理してみたいと思います。 対立の発端はBRICSから 両国間の対立はBRICSに端を発します。BRICSとは、ゴールドマン・サックスのジム・オニールがブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)…

銅価格急騰の理由(銅に50%関税)

銅の価格 銅の価格が急騰しました。これはトランプが銅に対して50%の関税を課すと発表したためです。6月17日に、今年は金・銀・プラチナよりも銅が投資先として有望かもしれないという記事を書いたことがあります。 tomotou.com 銅が投資先として優れている…

トランプ、日本に25%の関税を課す

トランプの日本に対する関税 2025年7月8日、トランプが日本との相互関税に関する内容を公開しました。 やはり米国は自国の自動車産業を守るために、日本の自動車にこれ以上の優遇措置を与えるつもりはないようです。 まず、公開された関税に関する内容を確認…

この夏、超熱帯夜が訪れるのか?

5月末までは例年よりも肌寒く感じられましたが、わずか1ヶ月で外出が困難なほどの猛暑が訪れています。なぜ今年の夏はこれほど暑いのか、その理由を整理してみたいと思います。 貿易風とエルニーニョの関係 地球が西から東へ回転すると、東から西へ吹く風が…

「歯が生え変わる薬」登場へ:インプラント不要の未来は近い?

人間は20代から歯が徐々に劣化し始めます。平均寿命が延びるにつれて歯に問題が生じるケースが増え、最近ではインプラントを選ぶ人が多くなっています。 過去には入れ歯が主流でしたが、入れ歯は顎の骨ではなく歯茎から支持力を得る仕組みです。そのため、入…

新薬開発を加速する次世代技術 ー AI・オルガノイド・ゼブラフィッシュ

tomotou.com 以前の記事で、延命・人工臓器についてまとめたことがあります。内容を簡単にまとめると、以下となります。 GDF11は若返りの鍵となるタンパク質として注目されている オルガノイド (人工臓器)は新薬開発や試験効率化の切り札 NectomeやCalicoの…

抗がん剤進歩の歴史(CAR-T細胞)

抗がん剤に関して注目すべき動きがあったため、まず抗がん剤の歴史から整理してみたいと思います。 ヘンリエッタ・ラックスと「不死の細胞」 1950年代、アメリカでは黒人に対する人種差別が根強く残っていました。アメリカのメリーランド州で唯一、黒人貧困…

ベトナムと米国の貿易合意成立(ベトナムは中国の代替国となるのか?)

ベトナムは米国にとって貿易赤字第3位の国であり、中国製品の迂回輸出ルートとしても活用されているため、トランプはベトナムに対して最高水準の46%の相互関税を適用していました。 米国の関税 ベトナムの総輸出額のうち、米国向けの輸出が30%を占めており、…

トランプの「大きく美しい法案(OBBB)」の主な内容とその影響

トランプの大きく美しい法案 7月2日、トランプの主要な政策公約を盛り込んだ「大きく美しい法案(One Big, Beautiful Bill, OBBB)」が米上院を通過しました。 定数100の米上院では、共和党が53議席、民主党(無所属含む)が47議席を占めています。今回のOBB…

仮想通貨、米国住宅金融システムに本格参入(Coinbase, Robinhood, Palantir)

住宅ローンと仮想通貨 米国の金融市場で非常に象徴的な出来事が起きました。それは、仮想通貨が住宅ローン審査という最も保守的な金融領域において、「資産」として正式に認められたことです。 米国住宅金融庁(FHFA:Federal Housing Finance Agency)は、…

内燃機関車の再挑戦:人工石油「e-fuel」

EUで環境規制の緩和に向けた動きが見られます。 それに伴い、自動車業界にも変化が生じているため、関連する内容を整理してみたいと思います。 ドイツが主導するEU環境規制の緩和 EUは「ユーロ1」から始まり、「ユーロ6」に至るまで、自動車とトラックの排出…

米国株と米国債の上昇チャンス?FRBがSLR規制の緩和を決定

tomotou.com 以前の記事で、SLR規制の緩和の可能性について取り上げたことがあります。SLRとは、自己資本を総資産で割った数値のことです。 リスク発生に備えて、米国の銀行が十分な資本を保有し、リスクを管理することを目的に導入された制度です。 現在のS…

イスラエル・イラン戦争のバタフライ効果 - 尿素と農産物価格の上昇

イスラエルとイランの戦争が停戦に至ったとしても、その余波は今後もしばらく続くと見られます。特に農産物と尿素水の分野に影響がありそうなので、その点を中心に整理していきたいと思います。 いつものように、過去の事例をもとに現在の状況を解説していき…

トランプの停戦発表でイスラエル・イラン戦争のリスクが収束

トランプが、イスラエル・イランの全面的かつ完全な停戦を発表したことで、およそ2週間続いた戦争リスクは事実上終息を迎えました。 トランプは「世界は12日間の戦争の終息を祝うべきだ」と述べ、「この戦争は数年間続く可能性があり、中東全体を破壊しかね…

AI時代に個人投資家が生き残る戦略について ー HFT、バフェット流

AIが進化するにつれて、私たちの生活はさまざまな場面で変わり始めています。当然、株式市場もその影響を受けており、株式投資においてもAIの存在感が高まっています。 株式取引におけるAI活用とHFTの登場 株式取引でAIを活用する方法のひとつに、HFT(High …