パウエルの2025年ジャクソンホール会合(金利引き下げ、イーサリアム)

日本時間2025年8月22日午後11時、パウエルFRB議長のジャクソンホール会合での講演が行われました。


発言の要旨は以下のとおりです。

  • 雇用市場には下方リスクが拡大している。

  • 政策金利は依然として引き締め的な水準にあり、リスク要因の変化によっては政策スタンスの調整が正当化され得る。

  • 失業率やその他の労働市場指標の安定性を考慮すれば、政策変更を慎重に検討できる。

  • 労働需要と供給がともに鈍化し、雇用増加は急速に減少した。

  • 短期的にはインフレ上昇リスクがあり、関税によるインフレ圧力も財価格を押し上げる形で明確に現れている。

  • 今後数ヵ月間はインフレ圧力が蓄積していくと見込まれる。

  • ただし、関税による物価上昇圧力は長期的なものではなく、インフレへの影響は一時的だとみなすのが基本的な前提である。

  • 関税や移民政策が経済に与える影響については、まだ判断が難しい。

  • 労働市場は5~6月の指標が大きく悪化し、減速感が一段と強まった。

  • 労働需要・供給ともに低下しており、この傾向が続けば失業率は急速に上昇する可能性がある。

  • インフレと雇用の双方に下方リスクが高まっており、極めて難しい局面にある。

  • 短期的には、金融政策はインフレ圧力と雇用の下押し圧力の両面にバランスよく対応する必要がある。

  • 長期的な期待インフレ率は、2%目標に沿った水準で推移していると考える。


簡単にまとめると、

  1. 雇用は最大雇用に近い水準にあり、インフレはコロナ禍の時期よりは安定している。

  2. 物価上昇リスクと雇用悪化リスクが同時に存在する特殊な状況である。
    (スタグフレーションの懸念があり、安心できる状況ではない)

  3. 金利はすでに制約的な領域にあるため、政策スタンスを調整する余地がある。
    (9月に25bp程度の利下げが行われる可能性がある)


 

昨年の米大統領選直前に利下げを行って以来、一度も利下げをしてこなかった「政治的なパウエル」も、ついに利下げに踏み切る構えを見せています。
8月末のPCE(Personal Consumption Expenditures、個人消費支出)が大幅に上昇するなどの大きなサプライズがない限り、9月の利下げの可能性は高まっている状況です。

 

パウエルが利下げの可能性を示唆する発言を行った後、リスク資産全体的に上昇中ですが、特にイーサリアムが大きく上昇しています。

イーサリアムのチャート

 

イーサリアムをはじめとする暗号資産はステーキング機能を持つため、金利との関連が深く、米国の金利が下がると相対的に暗号資産のステーキング利回りの価値が高まり、価格上昇につながります。

 

近いうちにイーサリアムが過去最高値を更新すると思います。