2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧

原子力ブーム再来?SMR・MMRに世界の巨額資金が動く

わずか1年前までは市場から成功の可能性について否定的な評価を受けていたSMRやMMRに、今では投資資金が集中しています。 原子力発電は、大型原子力発電(出力1,000MWe以上)から小型モジュール炉(SMR、50~300MWe)へ、さらにマイクロモジュール炉(MMR、1…

トランプの相互関税に無効判決と復活 ─ トランプの今後の対応は?

トランプの関税 5月28日(日本時間5月29日)、米国際貿易裁判所は、トランプがIEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に実施した包括関税および相互関税について、無効とする判決を下しました。 裁判所は、「米国憲法により、外国との貿易を規制する排他的権限は連…

日本の造船業の限界と競争力

米国は2025年4月17日、中国船舶から入港手数料を導入する方針を発表しました。この規制で恩恵を受けるのは日本と韓国です。造船業の歴史を振り返りながら、今後日本と韓国が商船市場でどのように競争していくのかを整理してみたいと思います。 英国から日本…

ウォーレン・バフェットがサムライ債を発行する理由(日本の総合商社)

サムライ債とは、外国企業が日本で円建ての社債を発行して資金を調達することを指します。円で借りたお金は、当然返済も円建てで行う必要があります。 日本は長年にわたり低金利が続いていたため、外国企業がサムライ債で調達した資金を自国通貨に両替し、自…

カバードコールETFの落とし穴 ー 長期投資に向かない理由

前回の記事では、レバレッジETFの仕組みを解説し、なぜ長期投資に適していないのかを説明しました。今回は、同じく多くの人がその仕組みを十分に理解しないまま投資している「カバードコールETF」について解説します。「高配当」というキーワードに惹かれ、…

レバレッジETFの落とし穴 ─ 2倍・3倍レバレッジETFで長期投資してはいけない理由

200円のロト6を買うと、販売経費や手数料で約15%、地方自治体への納付金で約40%が差し引かれます。つまり、宝くじを購入した時点で、すでに55%は損をしており、残りの45%の中で当選金が分配される仕組みです。安定して利益を得ているのは、宝くじを売ってい…

米中の宇宙太陽光発電戦争

1950年代、アメリカの対外戦略を主導していたシンクタンクはSSP(Special Studies Project)でした。 SSPはロックフェラー財団の支援を受け、アメリカ外交の伝説的人物であるヘンリー・キッシンジャーによって設立されたシンクタンクです。 当時のSSPは、「ソ…

最強の肥満治療薬が登場(イーライリリー、マンジャロ、オフォグリプロン)

マンジャロ(チルゼパチド)とは、イーライリリーが開発した糖尿病治療薬です。 米国FDAで糖尿病治療薬として承認され、初期の糖尿病患者に非常に効果的であることで知られています。 糖尿病と診断されてから5年未満の初期患者に対し、40〜52週間この薬を使用…

日本の国債入札が38年ぶりの大不調 ー 日銀、評価損25兆円超え?

日銀はこれまでYCC(Yield Curve Control)を通じて10年物国債の金利を管理してきました。 YCCとは、10年物国債の金利が一定水準を超えて上昇した場合、金利が下がるまで無制限に国債を買い入れるという手法です。 日銀が国債を買い入れると、国債の価格は上昇…

トランプが仮想通貨を推す本当の理由(ステーブルコイン)

ここ数年、暗号資産(仮想通貨)市場は単なる投機の場を超えて、グローバル金融システムに実質的な影響を与える存在へと変貌を遂げています。 その中心にあるのが「ステーブルコイン」です。 2025年4月15日、トランプは、「合法かつ正当なドル基盤のステーブル…

本格化する認知症治療薬の競争、関連銘柄は?(イーライリリー、バイオジェン、エーザイ)

脳に関する医学研究は、現在、認知症の研究に大きな焦点が当てられています。 人間は加齢に伴い、記憶力や思考力が徐々に衰え、やがて認知症へと進行していきます。 認知症の約70%はアルツハイマー病によるもので、この病名は1906年にドイツの医師アルツハ…

希土類(レアアース)とは何? 先端産業をめぐる米中のレアアース争奪戦

先日、アメリカと中国の間で貿易交渉が行われましたが、中国による希土類の輸出規制は依然として続いています。 では、なぜ中国は希土類を交渉のカードとして温存し続けているのでしょうか?その理由について解説します。 (いつも通り長くなりますので、結…

サム・アルトマンの危険な野望—AIはAGIに到達したのか?

サム・アルトマンは、裕福なユダヤ人家庭で生まれました。 彼はアメリカのスタンフォード大学でコンピュータ工学を専攻しましたがすぐに退学し、19歳の時にソーシャルネットワーキングアプリ「Loopt」を創業します。 そして7年後の2012年にLooptを4,340万ド…

ムーディーズ格下げへの米政府の反応と今後の見通し

前回の記事では、ムーディーズが米国の信用格付けを一段階引き下げたことによって、どのような影響があるのかを解説しました。 直接的には、米国債の金利にリスクプレミアムが追加で反映され、国債金利がさらに上昇し、その結果として米国株式や不動産市場に…

人間は永遠に生きられるのか?関連銘柄は? (人工臓器オルガノイド、脳意識移植、GDF11)

投資アイデアにつながる健康関連の話題があったので、まとめてみました。いつものように話が長くなるので、結論だけ見たい方は最後の方をご覧ください。 1956年、アメリカのコーネル大学で奇想天外な動物実験が行われました。生きたマウス2匹の脇腹を縫い合…

薄くて曲がる太陽電池ーペロブスカイトタンデムとは?関連銘柄は?

遠い未来のことだと思っていたものが、実用化にかなり近づいてきたので情報をまとめてみました。最後のほうに関連銘柄を書いておきます。 太陽からの光は波長によって紫外線や可視光線、赤外線などに分けられます。 人間は380~780ナノメートルの波長の光を…

ムーディーズの米国信用格付けを引き下げ...その影響は?

世界三大信用格付け会社の一つであるムーディーズが、米国の信用格付けを引き下げました。 ムーディーズは2023年11月に、米国の格付け見通しを「ポジティブ」から「ネガティブ」に変更していましたが、その見通し変更から1年半後の2025年5月17日、ついに米国…

米国債金利が急上昇する理由(債券買い時が近づいている)

米国債金利が急上昇しています。 米国債金利が上昇している理由には様々な解釈が考えられますが、ドルが安全資産としての地位を失いつつあるという解釈が有力です。 グローバル投資家が米国債を買わず、EUや日本国債を買っているということです。 リスク(Ris…

氷点下40度、不燃性、超低価格...CATLの衝撃的な新型バッテリー

2025年4月15日、中国工業情報化部(MIIT)は「電気自動車用動力蓄電池の安全要件」(GB38031-2025)という強制的な国家標準を正式に発表しました。 この規格は2026年7月1日から発売される新しい電気自動車に適用され、既存の電気自動車は2027年7月1日までテスト…

カタールがトランプに4億ドルの大統領専用機をプレゼントする理由

トランプは、カタール王室から4億ドル相当のボーイング747を提供したいというオファーがあったと明らかにしました。 カタールが贈るボーイング747は新品ではなく、カタール王室が13年前から乗っている中古です。 中古と言っても、世界で最も豪華な専用機の一…

台湾半導体会社TSMCの悩み

台湾のTSMCは台湾を代表する企業ですが、最近いろいろ悩みが増えているようなので情報を整理してみました。話が長くなりそうなので、結論だけ気になる方は最後のほうだけ見てください。現在、台湾全体の電力の12.5%をTSMC1社が使っています。 現在進行中の台…

トランプとサウジのビンサルマンの取引内容分析(NVidia, Palantir)

2022年、バイデンがサウジアラビアを訪問したとき、ビンサルマンは空港に出迎えに行かず、王宮で待っていました。 結局、会談は目立った成果もなく終了しました。 今回のトランプは違いました。 5月13日、中東歴訪の旅に出たトランプがサウジに到着した時は…

中国発の金投資規制、金価格下落のシグナル?

現在、金価格に最も大きな影響を与えている国は中国とインドです。 そのため、中国とインドの金に対するスタンスを見ることで、今後の金価格の動向を予想することができます。 中国は内需を活性化させるために、2024年よりも2025年に休日を2日増やしました。…

原油価格はどうなるか? (OPEC+、トランプ、ビンサルマン、サウジ)

原油価格が下落しています。今後どうなるか、整理してみました。 まず、最近の原油価格の動向から、今後どうなるのか考えてみます。 話が長くなりそうなので、結論が気になる方は最後の方を見てください。 インフレが激しかった2022年、バイデン大統領は物価…

イーサリアム、再び王座へ

2025年5月7日、イーサリアムはペクトラ(Pectra)アップグレードを成功させました。 アップグレード後、1800ドル前後で推移していたイーサリアムは現在2500ドルを超え、約40%上昇しています。 このように見ると、アップグレードにより価格が上昇したように見…

コーヒー豆高騰の理由(ベトナム、中国、ドリアン)

コーヒー豆の値段がどんどん上がっています。 ネット記事によると、異常気象・干ばつの影響だと言われていますが、他にも理由があるようなので情報を整理してみました。 ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国であり、世界のコーヒーの20%程度を生産していま…

イーロン・マスクの脳インプラント(ニューラルリンク)

2016年、イーロン・マスクは7人の科学者、エンジニアとニューラルリンクを設立しました。 人間の脳とコンピュータを直接接続する脳-コンピュータインターフェース(BCI、Brain-Machine Interfaces)技術の開発が彼らの目標です。 脳にチップを植えることを「脳…

トランプに残された時間はわずか…米・英・中の貿易交渉、その裏側を読み解く

5月8日、トランプは英国との貿易交渉妥結を発表しました。英国のキア・スターマー首相の後日談により、トランプが貿易交渉を急いでいるのが明らかになりました。 イギリスのキア・スターマー首相は、20年間アーセナルの年間シーズン券を購入しているほどのア…

ネクタイと株価の相関関係

17世紀のヨーロッパの戦争で、オーストリアはクロアチアの傭兵を雇って戦争に投入しました。クロアチアの傭兵は首を守るために赤い布を首に巻いて参戦し、これを「クラバット」と呼びました。ネクタイの語源であるクラバットは「クロアチア人」という意味で…

中国の個人情報取り扱いの恐ろしさ(DeepSeek, ChatGPT)

DeepSeekが公式サイトで明らかにしている個人情報の取り扱いを読んでみてびっくりしたので、その情報をまとめてみました。 DeepSeekは3つの情報を収集していると自ら明らかにしています。 「個人識別情報」、「自動収集情報」、「他ソースから収集する情報」…