インドの旅客機墜落事故に関するブラックボックスの第一次予備調査結果が公表されました。
当時の状況を振り返り、問題点を確認したいと思います。
事故の概要は以下の通りです。
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インド・アーメダバード空港を離陸中のエア・インディア所属ボーイング787-8ドリームライナーが、空港近くの医科大学の寮に衝突
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搭乗者242人のうち241人と、寮の学生33人が死亡
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事故機は2011年から運航されていた最新機種で、ドリームライナー初の墜落事例
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離陸直後は正常に飛行していたが、7秒後に1番エンジンが、さらに1秒後に2番エンジンが停止し推力を喪失
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10秒後に両エンジンの再始動を試み、1番エンジンは始動に成功したが2番エンジンは失敗
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ブラックボックスにはパイロット間の「なぜスイッチを切った?」、「切ってない」という会話が記録
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現時点で判明している原因は燃料遮断による両エンジン停止
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ソフトウェア不具合の可能性は低く、機械的または人的要因が疑われている
上記の事故概要を見ると、過去のボーイング737 MAX連続墜落事故のようなシステム欠陥ではなく、人的要因による事故のように見えます。
航空機産業は現在、ボーイングとエアバスという2社の競争構造になっています。
この2社を比較すると、設計思想において興味深い違いがあります。
ボーイング:「操縦の最終権限は常にパイロットに」
ボーイングは「飛行機を制御する最終権限は常にパイロットにある」という前提でシステムを設計しています。
機械は完璧ではないため、人間が制御し、機械は人間を補助するという考え方です。
このため、ボーイングのコックピットはパイロットの操作に忠実に反応します。
たとえ急降下操作であっても、飛行機は墜落するリスクがあってもパイロットの命令に従います。
エアバス:「人間はミスをする存在」
一方、エアバスは「人間はミスをする存在」という前提でシステムを設計します。
人間は完璧ではないので、コンピュータが人間のミスを監視し、制御すべきだという考え方です。
このため、エアバスではパイロットが急降下を試みても、通常の範囲を超える操作は制限されるよう設計されています。
つまり、「人間を信じるか、コンピューターを信じるか」という哲学の違いが、ボーイングとエアバスの最大の違いです。
まだ予備調査段階なので断定はできませんが、今回のインドの墜落事故は飛行機自体の問題ではなく、パイロットによる問題の可能性が疑われています。
「機械は完璧ではないので人間が制御すべき」というボーイングの哲学よりも、「人間は完璧ではないのでコンピュータが人間のミスを監視し制御すべき」というエアバスの哲学の方が現時点では正解に近いと感じます。
こうした企業の信念は株価にも表れており、ボーイングは株価が低迷している一方で、エアバスは上昇基調を続けています。

