新薬開発を加速する次世代技術 ー AI・オルガノイド・ゼブラフィッシュ

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以前の記事で、延命・人工臓器についてまとめたことがあります。

内容を簡単にまとめると、以下となります。

  1. GDF11は若返りの鍵となるタンパク質として注目されている
  2. オルガノイド (人工臓器)は新薬開発や試験効率化の切り札
  3. NectomeやCalicoのような企業は、最先端の延命・老化制御技術を研究中
以前の記事では、オルガノイド(人工臓器)にAIを活用した臨床試験の効率化について紹介しました。
今回は、オルガノイドに加えて注目されている手法があるため、その内容をアップデートします。

ゼブラフィッシュ
注目されるのは、「ゼブラフィッシュ」です。

ゼブラフィッシュは、熱帯魚の入門種として広く飼育されている淡水魚です。
この小さな熱帯魚は、人間と約80%の疾患関連遺伝子の類似性を持ち、代謝器官も人間とよく似ています。
そのため、代謝疾患の新薬開発に活用することが可能です。

ゼブラフィッシュは受精後わずか75分で細胞分化が始まり、24時間以内に主要な臓器が形成されます。
体が透明であるため、心拍などの生体活動をリアルタイムで観察できる点も大きな利点です。
さらに、受精後5日間は免疫システムが未発達のため、免疫抑制のための特別な処置をせずとも移植が可能です。

コスト面でも非常に優れています。ゼブラフィッシュは価格が安く、生命力が強いため、研究室内で繁殖させながら継続的に試験が可能で、研究費用を大幅に削減できます。

もし試験用のサルをゼブラフィッシュに置き換えることができれば、2つのメリットがあります。

1つ目は「時間」、2つ目は「コスト」です。

現在、試験用のサルは1匹あたり500万円から最高1,000万円ほどのコストがかかります。
通常1回の試験で50〜100匹を使用するため、サルによる臨床試験には約2.5億円〜10億円もの費用が必要です。
さらに、動物福祉の問題とも深く関わっています。


AI、オルガノイド、そしてゼブラフィッシュの活用が広がることで、動物試験を代替しながら新薬開発のスピードが加速し、コストも削減されると期待されています。
オルガノイドを用いた新薬試験は、世界中のバイオ企業がすでに積極的に取り組み始めています。

また、GDF11を活用した老化抑制研究も大きく進展しています。