
アメリカ・ウォール街の投資家たちは、AIの急速な普及によって打撃を受けると見られる企業から投資資金を回収しています。
その結果、対象となる企業の株価も軟調な動きを見せています。
こうした流れを受け、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は「AIの影響を強く受ける企業」をまとめた企業リストを提示しました。
そこに挙げられた企業は以下の通りです。
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Wix.com
ウェブサイト制作プラットフォームです。今後は人間ではなくAIがウェブサイトを作るようになると予測されています。 -
Shutterstock
デジタル画像を提供し、ライセンス料を得るプラットフォームです。AIによる画像生成の普及でライセンス需要が減少する可能性が高いです。 -
Adobe
PhotoshopやIllustratorを提供するソフトウェア企業です。Shutterstockと同様の理由でリスクが指摘されています。 -
ManpowerGroup
人材派遣サービス企業です。業務自動化によって派遣需要が縮小する懸念があります。 -
Robert Half
採用・人材派遣会社です。ManpowerGroupと同様の理由でリスクが指摘されています。 -
Gartner
市場調査会社です。AIを活用したリサーチが台頭し、従来型の調査の競争力低下が懸念されています。 -
Omnicom Group と WPP
伝統的な広告会社です。Meta(旧Facebook)が広告制作の全工程をAIで自動化しようとしており、その影響を受けると見られます。
アメリカの代表的株価指数であるS&P500やNasdaq100が最高値を更新している一方で、これらの企業の株価は今年に入り20〜50%下落しているのが目立ちます。
医師という職業への影響
AIの波は医療分野にも押し寄せています。
これまで医師は、優れた知性を持ち、膨大な医学知識を習得し、長い教育課程を修了したエリートの象徴でした。
その信頼のもと、患者が症状を訴えれば、診断から治療まですべてを医師が主導してきました。
しかし、アメリカでは状況が変わりつつあります。
特に診断の領域でAIが人間の医師を上回る例が増えてきました。
検診データやMRIのデータをAIに入力した方が、人間の医師よりも高い精度の診断結果を出していると報告されています。
特に放射線科や病理科などはAIに置き換わりやすい分野と見なされています。
AIは診断にとどまらず、処方やロボットを用いた手術まで行えるようになりつつあります。
結果として、医師に残る業務は患者との相談のみになるかもしれない、という見方も出ています。
こうした変化は「医学部進学=長期的に安定した高収入の保証」という常識を揺るがしています。
将来、患者とのやり取りは以下のようになるかもしれません。
「先生のおっしゃることはわかりますが、ChatGPTは違う診断を出していましたよ?」
もちろん医師が不要になるわけではありません。
しかし、医師の役割はAIと共存しながら新しい形に変わっていくと考えられます。
今後は医学の知識だけでなく、AIに関する理解も備えた人材の価値が高まると見られます。
つまり、「医師=高知的労働者」という従来のイメージが、「AIの診断を解釈し、患者と向き合い、最終責任を負う職業」へと変化していく可能性が高いです。
AI時代に必要な学び
AI時代でAIの最先端で生き残るためには、大きく3つの分野の学習が重要とされています。
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確率・統計(確率分布、統計的推論、仮説検証、回帰分析など)
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線形代数と微積分(ベクトル、行列、演算、多変数微積分など)
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情報理論(エントロピー、情報量、チャネル容量など)
中でも特に重要なのは「線形代数」です。
AIの基盤となる数値計算や最適化はすべて線形代数に基づいており、GPUによる並列処理やディープラーニングの大規模学習を可能にします。
ただし、こうした数理分野の学習はAIを開発する立場の人に必要なものであり、多くの人にとっては直接学ぶ必要はありません。
AIのユーザに求められる力
私たち一般のユーザがAIを活用する際に最も重要なのは、「適切に質問する力」と「AIの誤りを見抜く力」です。
AIは時に非常に巧妙に誤った答えを提示することがあり、そのまま鵜呑みにしてしまうのは大変危険です。
最近では、ChatGPTの回答をそのままコピーして、あたかも自分の主張のように扱う人も見かけます。
しかし、それを目にすると「では、あなた自身の考えは何なのか?」と問いかけたくなります。
大切なのは、AIを補助的なツールとして使いつつ、自分自身の思考と判断力を持つことです。
そのためには、幅広く学び、深く考える習慣が欠かせません。
結局のところ、AIの時代においても、重要なのは「学び続ける姿勢」だと思います。