ジャクソンホール会議が近づいている

毎日本当に暑い日が続いていますね。
熱中症にはくれぐれもお気をつけください。

8月はアメリカもバカンスシーズンのため、FRBのFOMCは開催されません。
ちなみにFOMCとは、Federal Open Market Committeeの略で、FRBの金融政策を決定する機関です。

FOMCが開かれないため、市場の関心はジャクソンホール会議に集まります。

ジャクソンホール

ジャクソンホール会議とは、米国のカンザスシティ連邦準備銀行が1978年から毎年8月に開催している年次経済政策シンポジウムです。
主要国の中央銀行総裁や経済学者が、米ワイオミング州の田舎のリゾート地ジャクソンホールに集まり、経済政策に関する意見を交わします。

ちなみにジャクソンホールは、米大富豪ロックフェラーが周辺山岳地帯の不動産の大半を買い取り、「自然をそのまま保存する」という条件で市に寄付した土地です。
寄付された土地なので開発もできず、今でも田舎のように静かな場所です。

今年も8月21日から23日にかけてジャクソンホール会議が開催されます。
パウエルがFRB議長として出席する最後のジャクソンホール会議となります。
9月16日〜17日に行われるFOMC定例会合に先立ち、このジャクソンホール会議でのパウエルの発言から、利下げなどの方向性を把握できます。

ジャクソンホール会議を主催するカンザスシティ連銀は、2025年の会議テーマを興味深く設定しました。
テーマは「転換期の労働市場:人口動態、生産性、そしてマクロ経済政策」です。

最近の雇用統計で、新規雇用の予測値と実測値が大きく乖離し、関連責任者がトランプに解任されるなど、大きな騒ぎがありました。
労働市場と統計がテーマとなっているため、この問題も自然と議論されることになりそうです。

パウエルは7月30日のFOMC記者会見で「労働市場は堅調」と述べ、9月の金利については「まだ何も決定していない」と回答しました。
しかし今回の統計の誤差により、「労働市場が堅調である」という前提が崩れたため、利下げをしない理由はなくなりました。

FOMC内部の雰囲気も変わりつつあります。
7月30日のFOMCでは、2人の理事が利下げを主張してパウエルに反対票を投じ、FRB内のタカ派であるクーグラー理事が早期辞任を表明しました。
もしトランプがクーグラー理事の後任を任命すれば、FRB理事7人中3人がトランプ派となります。

パウエルが退けば、4対3で勢力が逆転します。

過去のジャクソンホール会議を振り返ると、2021年の会議でパウエルは「インフレは一時的なもの」と発言しました。
この誤判断により、FRBは適切な利上げのタイミングを9カ月も遅らせるという致命的なミスを犯しました。
パウエルにとって、2021年のジャクソンホール会議は人生最悪の黒歴史といえるでしょう。

2022年の会議では態度を変え、インフレ抑制のためにあらゆる手段を講じると強硬な発言をし、2022年から2023年にかけて世界の株式市場が暴落しました。


2023年の会議ではインフレ目標を2%とする方針を示し、2024年の会議では利下げが主要テーマでした。
2024年8月のジャクソンホール会議で「政策を転換する時が来た」として、9月に利下げを行うと宣言します。
この発言を受け、2024年後半から米国株式市場は再び急騰しました。

このように、毎年8月のジャクソンホール会議は世界経済の方向性を示す重要な場です。
雇用統計が間違っていたことが判明した以上、通常であれば利下げの方向性を示すはずです。

しかし、2021年のインフレ判断ミスや、昨年の米大統領選前に利下げを行いながらトランプ当選後は世界各国が複数回利下げする中で米国だけが利下げをしなかった経緯を考えると、パウエルは政治的かつ独断的な人物と評価されても仕方がありません。

さらに2025年は、パウエルがFRB議長として最後にジャクソンホール会議に出席する年でもあり、これまで言えなかったことを遠慮なく発言する可能性もあります。
雇用の縮小を認めつつも、「インフレはまだ抑え込めておらず、再び上昇する可能性がある」と発言する可能性も否定できません。

個人的には、2025年後半の金融市場の最後のフィナーレに向けて、利下げを言及してくれることを願っています。