最強の肥満治療薬が登場(イーライリリー、マンジャロ、オフォグリプロン)


マンジャロ(チルゼパチド)とは、イーライリリーが開発した糖尿病治療薬です。
米国FDAで糖尿病治療薬として承認され、初期の糖尿病患者に非常に効果的であることで知られています。
糖尿病と診断されてから5年未満の初期患者に対し、40〜52週間この薬を使用した結果、およそ半数の患者の血糖値が正常値まで下がったと報告されています。
 
糖尿病患者はインスリンの分泌がうまくいかず、血糖コントロールが困難になるため、治療薬でインスリン分泌を促進して血糖値を調整します。
マンジャロには、インスリン分泌を調整する効果に加え、GLP-1およびGIP受容体を刺激する成分が含まれており、脳に「満腹」という信号を送り、食欲を抑える作用があります。
つまり、インスリン分泌の調整と食欲抑制という二重の効果によって、糖尿病と肥満の両方に効果を発揮する薬なのです。
 
もともとは糖尿病治療薬として発売されましたが、体重減少効果が非常に高いため、肥満治療薬としても使用されるようになったケースです。
 
実際、2,539人の過体重患者にマンジャロを週に1回注射したところ、平均で24kgの体重減少効果が確認されました。
これは、胃を縛って小さくする減量手術(いわゆる胃スリーブ手術)を上回る効果と言われています。
 
マンジャロの欠点注射でしか投与できない点です。
しかし、2025年4月18日、イーライリリーは、注射ではなく経口で服用できる肥満治療薬の第3相臨床試験に成功したと発表しました。
アメリカの製薬会社アムジェンやファイザーは経口肥満薬の臨床試験中に副作用が見つかり、試験を中止していましたが、イーライリリーは無事に第3相を突破したのです。
 
この経口肥満薬の名前は「オフォグリプロン」です。
アメリカ、中国、インド、日本、メキシコの559人を対象に、オフォグリプロンを9ヶ月間、1日1錠服用する臨床試験が行われ、用量に応じて減量効果に差が見られました。
3mg、12mg、36mgのグループに分けて試験を実施したところ、用量が多いほど体重減少の効果が大きくなる傾向がありました。
週1回の注射で平均24kgの減量効果があるマンジャロと比較すると、最大用量のオフォグリプロンでは7.3kgの減量にとどまり、効果はやや劣るようです。
 
それでも、注射ではなく錠剤である点は大きなメリットです。
人々がいかに注射を嫌がっているかは、オフォグリプロンが市場に登場すれば明らかになるでしょう。
 
肥満治療薬市場が拡大するとともに、注目を集める別の市場もあります。
「オゼンピック・フェイス(Ozempic Face)」、「ウィゴビー・フェイス(Wegovy Face)」という言葉が登場したのです。

急激に体重が減ると、顔の皮下脂肪が減少し、しわが増えたり、目がくぼんだり、あごや首まわりの皮膚がたるんでしまう現象が起こります。
つまり、痩せる代わりに老けて見えるようになるのです。
そのため、しわを改善したり、たるんだ皮膚を引き上げる美容施術への需要も今後増えていくと予想されます。
 
最近、イーライリリーがヘルスケア市場で圧倒的なパフォーマンスを見せていますね。