中国国務院副総理の何立峰は、ジュネーブで行われた米国との初の貿易交渉について、
「会談は建設的で、大きな進展を遂げた。共同声明が12日に発表され、米中両国は重要なコンセンサスを達成し、貿易・経済協議のメカニズムを構築することに合意した。
中国は貿易交渉において、常にお互いウィンウィンする結果を追求してきた。
意見の食い違いは管理し、協力分野を拡大する準備ができている。
私たちは世界経済により多くの確実性と安定性をもたらす。ただし、両国間の一部の摩擦は避けられない」
と発表しました。
これに対し、米国側の首席代表であるスコット・ベサント財務長官は、
「非常に重要な貿易分野において、米国と中国が大きな進展を遂げたことを嬉しく思う。
議論は生産的だった。
トランプ大統領は進行状況について完全に把握している。
私たちは明日(12日)午前中に詳しくブリーフィングする」
と記者団の質問に答えました。
外交・交渉での言語は言い回しの言語なので、解釈が必要です。
一つずつ解釈してみます。
- まず、中国の何立峰は「会談は建設的だった」と言いました。
「建設的」というのは、「会談の結果が大した内容もなく、まあまあだった」という意味です。
とりあえず、ものすごい合意内容の発表は出てこないことがわかります。 - 中国の何立峰と米国のスコット・ベサントは両方とも「大きな進展を遂げた」と言いました。
この言葉は、お互いに少しずつ何かを譲歩したという意味です。
両側が一歩も引かず、完全に対立して終わったわけではなく、ある程度のやり取りをしながら意見の食い違いを理解したと解釈できます。 - スコット・ベサント財務長官の「生産的」という言葉は、「大きな進展」と似ていますが、少し違います。
「大きな進展」は、やり取りの中で食い違いを「理解した」という程度ですが、
「生産的」という言葉は、大なり小なり何かしらの「合意」をしたということだ。
中国の公安部長も会談に出席したことから、フェンタニルに対する中国の管理強化が合意内容に含まれるかどうかが観戦ポイントとなります。
今回、「率直な会話を交わした」という言葉は出てきませんでした。
「率直な会話を交わした」というと、意見が合わず、お互いに言いたいことだけ言って合意なしに喧嘩して終わったという意味です。
「率直で深い議論をした」という言葉は、敏感な話題も避けず、お互いの考えを隠さずに話し合い、大きな合意はなかったがある程度の進展があったという意味になります。
今回の発表内容を見ると、
米中貿易協議は喧嘩はせず、実務的に協議を行い、やり取りがある程度行われ、部分的な合意がなされた
という程度に解釈できます。
部分的な合意が何なのかは、今晩の公式発表で確認できます。
フェンタニルが含まれるかどうかが観戦ポイントですね。